今日の気づきは「プロダクトは価値を「提案」するもの」です。
今日は以下の書籍からの気づきです。
プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで
及川 卓也 (著), 曽根原 春樹 (著), 小城 久美子 (著)
本書籍は、プロダクトマネージャーが押さえるべき要点をまとめた書籍であり、IT化の進む現代でプロダクトの成功抜きに、ビジネスは語れない、と書かれています。
本書を読んで気づいたことは以下の3つありました。
①プロダクトは価値を「提案」するもの
本書を読んでまず最初に驚いたのは、プロダクトの定義でした。
本書ではプロダクトを「市場において顧客となりうる個人や団体に価値を提案するもの」と定義していたのです。
今まで私はプロダクトは顧客に価値を「提供」するものだと考えていましたが、著者が「提案」と捉えていたことに驚きました。
本書には、「提供」ではなく「提案」と定義したことについて詳しくは触れられていませんでしたが、私なりに著者の意図を類推してみました。
結論として、著者が言いたかったことは、顧客の困りごとを鵜吞みにして解決策を「提供」するだけでは顧客から振り向いてもらえるプロダクトはできない、顧客の言語化できていない真意を掴み、それを新たな発想で解決する案を「提案」していかなければ真のプロダクトとは呼べない、ということかな、と気づきました。
実際、著者は別の箇所で、「プロダクトをつくることは仮説検証をすること」とも「そのプロダクトでユーザーにどんな変化を生み出したいの?を考えるべき」とも述べており、私の「提案」という定義に対する解釈は大きく外れてはいないと思いました。
②ビジョンとミッションが必要なのは、ステークホルダーを納得させるため
本書では、プロダクトのPMF(Product Market Fit; プロダクトが顧客に受け入れられている状態)を目指すための4階層として、Core、Why、What、Howの手順で述べられています。
※簡単に説明すると、Coreは自社のビジョンやミッション、Whyは顧客の課題と自社の強みとの適合方法、Whatはユーザー体験やビジネスモデル、HowはUIや実際の機能やマーケティング方法を表しています。
一方、以前読んだ「起業の科学」ではアイデア検証、CPF(Customer Problem Fit; 顧客にその課題が存在するかの検証)、PSF(Problem Solution Fit; 課題に対する解決策として適切かの検証)の手順で述べられていました。
このままだと表現方法がバラバラですが、両書籍で共通して説明に用いられていた「リーンキャンバス」に当てはめてみると、大きな違いがあることに気づきました。
(図はリーンキャンバス。上は「起業の科学」、下は本書より引用)
まず本書では、リーンキャンバスの中心である「独自の価値提案」を最初に埋め、次に左右の「課題と顧客セグメント」を埋めるため、「自社のビジョン、ミッションを大切にしている」と感じました。
一方、「起業の科学」では逆に左右→中心の順番で埋めていくので、「顧客の声が自社のビジョンよりも優先」ということになりました。
このままでは「自社のビジョンとミッションか、顧客の声か、結局、どちらを優先すべき?」となりますが、私なりにここも解釈を考えてみました。
結論としては、自社のビジョンとミッションを優先する本書の手法は、チームメンバー全員がプロダクトの方向性に納得したうえで仕事に取り掛かることができ、どんなメンバーでも一丸となれる、どんな企業でも応用の効く手法、ということかな、と気づきました。
一方、「起業の科学」で紹介されていた「顧客の声が自社のビジョンよりも優先」は、最初からチームメンバー全員が自分の担当領域以外にも主体的にコミットしようとしている少人数での起業などのケースで有効な手法、と気づきました。
実際、本書ではプロダクトマネージャーの役割は2つあり、プロダクトを育てることと、ステークホルダー(利害関係者; チームメンバーなどのこと)をまとめてチームを率いることだと書かれており、私の解釈も大きくは外れていないと思いました。
また本書では、「大切なものランキング」が紹介されており、「残業は週5時間まで」は「新機能を3か月でリリース」より優先度が高いか、メンバーで認識合わせするなど、サラリーマンが不満なく離職せずに仕事に取り組んでくれることを優先的に考えている節(ふし)もあります。
③私に不足しているのは座学ではなく経験
本書では、プロダクトマネージャーを目指す人が「不足しているスキルは何か?」と迷っても大丈夫なように、6つの必須スキルとそれらを成長させるための指針が紹介されていました。
6つのスキルを一応書いておくと、以下の通りです。
・発想力:ビジネスモデル創出、既存機能の組合せ提案、ステークホルダーとの新しいコミュニケーションの取り方などを発想する力
・計画力:中期的なロードマップの作成や指標の立案など、プロダクトを着実に成功へと向かわせる力
・実行力:基礎知識と多くの人の力をまとめて実現させる力
・仮説検証力:何が仮説で何が検証済みの事実であるかを論理的に考え、数字と向き合う力
・リスク管理力:各意思決定にどれだけのリスクがあるのか、そのリスクを軽減する方法はあるのかを把握する力
・チーム構築力:リーダーに必要なコミュニケーションスキル(心理的安全性についての理解や他者とのネゴシエーションスキルなど)、エンジニアと協業するための最低限の知識
私には6つのスキル全てが不足していると気づきましたし、たとえもし仮に本書のフレームワークを使って綿密な理論武装を行おうとしても、経験不足から、細かな問題解決や意思決定は稚拙になり、とてもじゃないけれど、新規プロダクトのCoreからHowまでの一貫性を保ったプロダクトマネジメントはできないと気づきました。
私はまだまだ経験を積みながら、時に振り返りの時間も取ることで、6つのスキルを地道に鍛えていくしかないと本書を読んで気づきました。
以上、本書から得た3つの気づきを活用し、今後は「提供」より「提案」を大事にすること、状況に応じて自社のビジョンやミッションと顧客の声の優先度のバランスを取ること、経験を積んで6つのスキルを伸ばしていくこと、に注力していきたいと思います。
独自性 | ★★★★★ |
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有用性 | ★★★★★ |
分かりやすさ | ★★★★★ |
総合 | 95 / 100 |
以上、今日の気づきは「プロダクトは価値を「提案」するもの」でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!