今日の気づきは「UXリサーチは奥深い」です。
今日は以下の書籍からの気づきです。
はじめてのUXリサーチ ユーザーとともに価値あるサービスを作り続けるために
松薗 美帆, 草野 孔希(共著)
本書籍を要約すると、UXリサーチは、製品使用前から使用後まで含めたUXの問題を定義・解決を探る手法で、誰でも簡単に始められます、と書かれています。
まずUXとは、ユーザーエクスペリエンスの略で、「製品の利用を通じてユーザーが得る体験」を意味します。
本書を手に取った理由は、現代のサービスの普及は「モノ消費よりコト消費」、すなわち性能が良いのは大前提で、使用方法がどれだけユーザーに分かりやすいかの方が重視される時代になってきている中で、その課題を発見・解決できる能力を身につけたいと思ったからです。
結果として、本書は用語の分類が体系的、手順説明が明瞭、事例が豊富、という3点が優れており、UXリサーチ初心者にとって大変分かりやすい本でした。
本書で印象に残ったのは、次の3つです。
①UXリサーチのデータは質的データと量的データに分けられる
質的データは、例えばインタビューなどで得られる、ユーザーの考えや実際の行動のことです。
長所はユーザー一人ひとりの経験を文脈を含めて詳細に調査可能な所で、短所は主観的な意見になりがちで分析者によって解釈が分かれるリスクが大きいことと、大量の調査が難しいことが挙げられます。
他方、量的データはアンケートなどで得られた、何%の人が使いやすいと答えたなどの測定可能なデータのことです。
長所は客観的で多くのデータが得られてデータの関係性や因果関係の分析に向くことで、短所は無味乾燥でユーザー一人ひとりの声が詳細まで分からない所です。
それぞれ一長一短なため、例えば量的データとして事業目標的には良い数値が出ていても、質的データを取ってみたら「ユーザーは嫌だなと思いながら操作していて、もう二度と使わないと思っていた」という結果が得られることも実際にあるそうです。
私は現在、顧客先に常駐して社内SE的な立場にあり、ユーザーの声を取り入れることも多くあります。
よって、これらの分類を知っているか知ってないかだけでも、今後、ユーザーからの意見(質的データ)の解釈の違いに目を向けられ、客観性を保つために同僚の意見も取り入れようなどの工夫ができると気づきました。
②UXリサーチは最初に結果活用をイメージする
UXリサーチは7ステップあり、状況理解、問い立案、手順設計、調査準備、調査実施、データ分析、結果活用、で進めていきます。
ここで意外だったのが、最初のステップである状況理解と問い立案のパートで、同時に最終ステップの結果活用までイメージしておくことでした。
やはり最初に、どんな問いを明らかにしたいか、どんな問いは明らかにしなくて良いかといったゴールをイメージすることで、用いる手法が決定されていく、というのは、なるほどな、と感じました。
私も最近は、必ずタスク着手前に現状理解とゴールのイメージをしてからどれくらいの時間かかりそうか見積もって、途中経過報告に役立てたり、後でオーバーした理由まで振り返って次回の改善点を見つける取り組みをしていますが、UXリサーチもそこは似ていると気づきました。
以前の行き当たりばったりにタスクを消化していた時に比べると、明らかに他者の状況を踏まえてタスク順序を組み立てているため、効率的になっています。
③5人のユーザーでテストすれば、ユーザビリティ問題の85%を発見できる
こんなに定量的に閾値が判明していること、そしてたった5名で十分であることに驚きました(元論文はこちら)。
ちょうど先週のカンブリア宮殿で、スナック・ミーというお菓子のサブスクをしているベンチャーが取り上げられていました。
社長の服部さんは、1か月に10名のユーザーに電話をかけて改善点を聞き、ユーザビリティ改善に生かしているそうです。
本書を読んでいなかったら、へぇ10名も電話してすごいな、で終わったでしょう。
しかし本書を読んでいたので、
・10名という数字はどこから出てきたのか?
・5名に電話して課題を洗い出して改善、というサイクルを2回繰り返しているけれど、テレビでそこまで説明するのが難しいから10名と言っただけなのか?
・そもそもヤコブ・ニールセン氏のこの説を知らないのか?
などと考えさせられ、より深く物事を考察できるようになれたと気づきました。
今後もユーザーの声を〇人聞いた、という話を耳にするたびに「ヤコブ・ニールセン氏によると5名で85%解明できるらしいけど、どこからその人数を出したのかな?」と考察し始めるかも知れません笑
最後に
以上、3点の印象的な気づきを紹介しましたが、最後に、「UXリサーチは奥深い」と気づきました。
ユーザーの声を聞くという一見単純なリサーチながら、1サイクル回すだけでも1週間~1か月かかり、今後何度も繰り返す場合は、周囲に広めて運用する段階まで考慮して設計し、気を付けるべきこともたくさんあるからです。
本書を読んで、そのイメージが明瞭になったので、読んで良かったです。
独自性 | ★★★☆☆ |
---|---|
有用性 | ★★★★★ |
分かりやすさ | ★★★★★ |
総合 | 85 / 100 |
以上、今日の気づきは「UXリサーチは奥深い」でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!