今日の気づきは「SMRは安全性が高い原発」です。
今日は以下の記事からの気づきです。
小型原発「SMR」、エネ安保で脚光 脱炭素も追い風:日本経済新聞
本記事を要約すると、安全性や建設費の安さを特徴とする小型モジュール炉(SMR)の導入に世界が動き出した、と報じています。
SMRのメリット
小型モジュール炉(Small Modular Reactors; SMR)は、従来の原子炉(1基100万kW)よりも小型(1基30万kW以下)の炉のことです。
メリットは、以下の3つ挙げられています。
①設置費用が安い
SMRはモジュール化して工場で組み立てて、現地へ運ぶことができるため、工期が短く、建設費を抑えることができます。
07年設立のニュースケールの試算では、米国内にSMRの発電所を設ける費用は1kWあたり3000ドル以下と、5000ドル以上の大型炉に比べほぼ半額の水準だそうです。
②安全性が高い
電源に頼らずに原子炉を冷やす構造により、電気の供給が途絶えてもメルトダウンを起こしにくいそうです。
③核不拡散
原子力施設には核兵器への転用を防ぐため核不拡散の原則があります。
SMRは原子炉全体を工場で組み立てて現地に設置するため、発電が終わったら、原子炉全体を撤去することもできます。
よって途上国などにつくったとしても、途上国などがSMRを解体して核兵器を作ることを防ぐことができます。
(参考:EnergyShiftより)
今後のSMR
今後はカーボンニュートラルの影響もあり、各国でSMR設置が進みます。
米国では、ニュースケールが第1号の発電所を29年にも北西部アイダホ州で稼働させる予定です。
英国は「グリーン産業革命」の柱の一つに原子力を位置づけ、今後20年間で16基のSMRの発電所を建設し、4万人の雇用を創出する構想を発表、経済成長のエンジンとしての期待も大きくなっています。
日本でも三菱重工業が出力30万kW規模のSMRを開発し、21年に国内の電力大手と初期の設計協議に入ったそうです。
ロシアは3.5万kWの原子炉を2基積んだ「海上浮体式」のSMRを実用化し、20年から商業運転を開始し、他国より先行しています。
中国の動きも早く、21年7月、海南省でSMR「玲龍一号」(12.5万kW)の実証炉を着工したそうです。
最後に
小型モジュール炉(SMR)という技術を初めて知りました。
原子炉と言えば安全性が一番の争点ですので、そこに安価かつ核不拡散のメリットのあるSMRは今後期待できます。
SMR市場は2030年に130億ドル(約1兆7千億円)に達するとの予測もあるそうで、それも納得だと思いました。
一方で、現状は実績の乏しい技術に対して期待先行の面も否めず、うたい文句通りの安全性を実証できるかも課題です(批判的なサイトもありました)。
今後の実績に注目していきたいと思います。
以上、今日の気づきは「SMRは安全性が高い原発」でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
(アイキャッチ画像はJIJI.COMより)